【声明】立川反戦ビラ入れ裁判無罪判決について――検察は控訴断念を――

2004年12月21日

    市民の意見30の会・東京
 

 1216日東京地裁八王子支部・長谷川憲一裁判長は、立川自衛隊監テント村に所属する仲間3名の自衛隊官舎ビラ入れは住居侵入罪ではないと無罪判決を下した。当然の結果であるとはいえ、この無罪判決は、戦争国家化、監視社会に向かう日本社会にあって、それらに抵抗するさまざまな市民運動、社会運動の活動や表現行動について、憲法22条の思想・言論・表現の自由の保障に根拠を求めた点で、極めて意義は大きい。
 判決は日本国家の戦争国家化に反対し自衛隊官舎に立ち入りビラを配布することが、プライバシー侵害でないことを認めたのみならず、ビラ入れ活動やテント村の活動を「政治的表現活動」として「憲法
21条に保障」されていると断じ、「政治的表現活動は民主主義社会の根幹をなすもの」であり、同22条の営業活動の自由より「優先的地位が認められる」と評価した。
 そもそも、今回のビラまき弾圧事件は、日米同盟優先という目的でイラク派兵を強行した小泉政権への批判を封じ込め、自衛隊員への言論・表現活動による説得・対話活動を恐れた警視庁公安部主導による、市民運動の萎縮を狙った極めて政治的意図に満ちた不当逮捕・家宅捜索、起訴であったことが、公判をとおして明らかになった。自衛隊員の住居侵入被害届けも警察官が作成していたことが暴露され、立川自衛隊監視テント村が特定の政治グループと関係を持つ、天皇制に反対する反国家的で危険な団体であるとの立証を意図した警察官の証人申請は「裁判所は思想を裁くところではない」として却下された。
 今回の無罪判決を導いたのは、全国からの「被告」たちへの励ましや一万筆を越える無罪要求署名、弁護団、救援会、良心的な憲法・法学者など、支援活動の勝利でもある。「一人一人の個人は微力ではあっても無力ではない」
石埼学さん)
 私たちは、警察・検察当局が不法不当な
3名への逮捕、起訴、関係者への家宅捜索に非があったことを謝罪し,検察当局が控訴を断念し、今後、この種の不当な権力行使を決して行わぬよう強く要求するものである。

【注】その後、検察側は、この判決を不服として控訴しました。また、この無罪判決直後、東京・葛飾区では、共産党の政策ビラなどをマンションで配っていた人が、やはり住居侵入罪で逮捕、拘留、起訴されました。権力側の暴挙はつづいており、市民の意見30の会・東京は諸団体とともに、これと闘ってゆきます。

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