(ニュース61号 2000/08/01)


世界の新しい動きにつれて

 「禍福(かふく)は糾(あざな)える縄のごとし」ということわざが、むかしはよく使われました。いまはほとんど聞かれません。だがいまの世界はまさしくこのように、いろいろな良いこと、悪いことが入り組み、絡み合ってはげしく動いています。

 「福」つまり幸いなことを一つ挙げると、朝鮮半島で南と北の二つの国の首脳が初めて会談したこと。このことは、たとえ複雑な表裏があろうにせよ一九九九年には誰も思ってもみなかったでしょう。

 では「禍」の方はというと、これはキリがありません。世界中、いまも国どうし、民族どうし、宗教どうしの紛争や緊張関係がたえまなく続いています。

 日本での「禍」のほうは、いっぱいあり過ぎます。新ガイドライン(周辺事態法、日米安保の強化)、盗聴法、日の丸・君が代法、憲法改悪のたくらみ(憲法調査会の設置)……と、どどっとでてきました。子供の成長に合わせて、服を作りかえるように、日本がこれだけ成長したから憲法も変えるのが当然だという、憲法というものについての無知をさらけだす閣僚さえでてきました。安直なたとえばなしで政治を語る政治屋は人をまどわすだけのこまった存在です。 

 アメリカとソ連との冷戦時代が過ぎ去って、日米安保はもともとの意味を失ってしまったのに、日米軍事同盟の強化を計るのは、朝鮮半島の新しい関係とどのように入り組み、絡み合っているのでしょう。「市民の意見30の会」は世界の複雑な現象に対して一面的でない見方をしようと思っています。私たちの非軍備の主張は利己的に軍事に反対するのでなく、積極的に平和を築いてゆくための非軍事国とならねばならないということです。

 日米平和友好条約を結び、安保を終了させるという、私たちの考えはますます重要さを増しています。政府には、軍事によって国を守ろうと考えるのではなく外交の努力を重ねて平和を拓くように迫ってゆき、市民も、アメリカを始め多くの国の市民と交流して平和を築きあげることが、この会の基本の考えです。

 また、A国、B国、C国……が、さまざまな国X、Y、Z……に武器を売って事業にしていることを止めさせる。そのためには、まず武器の国際的売買を禁止する国際条約を作ることを世界の世論としたいものです。   

 十年前「市民の意見三〇」というものを新聞の意見広告に出して出発しました。当然改めなければならないことも沢山になりました。単なる手直しではなく、積極的に新たな主張をおりこんだ「三〇の意見」を作ることを考えています。それを、たとえば「日の丸・君が代」に反対する運動を始めさまざまな活動をともなってやってゆきます。そういう仕方がこの会の性格だと思っています。

(福富節男)


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